2月7日に神奈川県主催の「事業者のための個人情報保護講座」を受講いたしました。
当日は悪天候にも関わらず、定員80名をはるかに上回る人数が参加し、各事業者の個人情報保護法への関心の高さが伺えました。
講座は奥津茂樹氏(NPO「情報クリアリングハウス」理事)を講師に迎え、個人情報保護法の概要・必要性・対象となる範囲・管理などについて、実際にあった事例を交えての興味深い内容でした。
❏個人情報保護法の概要
個人情報保護法は主として民間の事業者を対象とするものです。しかし、法の対象となる「個人情報取扱事業者」は、5,000人を超える個人データを継続的に管理・利用する事業者に限定されます。例えば、1,000人の顧客データと100人の従業員データを持つ事業者の場合、計1,100人なので「個人情報保護法」の義務規定の対象にはなりません。しかし、法の基本理念に基づいて個人情報の適正な扱いが図られなければならないとされています。
❏個人情報保護・管理の必要性
「ひとり暮らし」「資産がある」など、個人のプロフィールを様々な面から表現したものが個人情報です。その為、その情報が流出すると犯罪に悪用される恐れもあります。
実際に盗難・紛失・悪用された例をいくつかあげると・・・
≪盗難事例≫
○2007年 行事参加者150人分の住所・氏名・電話番号などの入ったノートパソコンが事業所から盗まれた。
⇒原因・・・個人情報をノートパソコンに保存しないよう定めたルールがあったが、それが守られなかった。
≪紛失・流出事例≫
○2007年 介護保険利用者51名分の個人情報(住所・氏名・生年月日・電話番号など)を記録したUSBメモリーが盗まれた。
⇒原因・・・USBメモリーの適正な管理・保管について徹底が不十分であった。
○2007年 病院患者の情報(氏名・診療費の支払額)9,951人分がインターネット上に流出した。
⇒原因・・・委託先の従業員が使用していたファイル交換ソフト「Shere」が、ウイルスに感染していた。
≪犯罪への悪用事例≫
○2004年 神奈川県内のガソリンスタンドで約7,000人分の伝票を盗み、そこからカード番号・ローマ字の氏名・有効期間の情報を利用し、インターネットで商品を購入。
○2004年 長野県の有線放送農協の加入者名簿を入手し、これをもとに高齢者3人を強殺。
○2005年 信販会社の個人情報(クレジットカード番号・有効期限・氏名・住所など)を入手し、インターネットショッピングで商品を購入し、買取業者に売却。
以上のように、流出した個人情報が犯罪にまでは至らなくとも、事業者は顧客への連絡や謝罪広告などの事故処理に追われます。また、裁判でずさんな管理の責任を問われる場合もあります。
裁判費用や敗訴になれば慰謝料など事業者の経済的な損失は少なくありません。いずれも適正な管理をしていれば不要なコストがかかることもありません。
そして何よりも個人情報のずさんな管理によって顧客の信頼を失うことが、事業者にとって最大の損失です。内閣府の世論調査(2006年公表)によると、71%の市民が個人情報の漏洩に不安を抱いています。このように体感不安が高いため、個人情報の管理の良否は事業者に対する評価に大きな影響を及ぼすといえます。
❏対象になる個人情報の範囲
そもそも個人情報とは何でしょうか?
これについて日本の制度では個人識別型で定義しています。
具体的な例としては・・・
○本人の氏名
○生年月日、連絡先(住所・氏名・電話番号・メールアドレス)、会社における職位、又は所属に関する情報について、それらと本人の氏名を組み合わせた情報
○防犯カメラに記録された情報等、本人が判別できる映
像情報
○特定個人を識別できる情報が記述されていなくても、周知の情報を補って認識することにより特例の個人を識別できる情報
○雇用管理情報(会社が従業員を評価した情報を含む)
❏管理・対策
パソコンの利用が広まるなかで、事業者のパソコンデータの盗難・紛失事例が急速に増えています。
これらの具体的な対策を含めた個人情報取扱いのポイントとして以下の項目が挙げられます。
○事業所内でデータ持ち出しの原則禁止と、例外的に持ち出すときの手続きと注意事項を定め、周知徹底する。特にUSBメモリーの取扱いに注意が必要。
○事業所内部における利用実態を把握し、アクセス制限やウィルスチェックの徹底などパソコンや記録媒体のセキュリティ対策を強化する。
○日常的に個人情報が記録された書類と他の書類との分別を徹底し、個人情報が確実に廃棄されるようにすると共に、裏紙の再利用等による外部流出を防ぐ。
○顧客や利用者の視点で利用目的の記載内容を読み返し、どのような個人情報を何のために利用するのかが解る表現となっているか否かをチェックする。それが過剰反応に対する対策としても重要なポイントとなる。
今回の講義を受け、個人情報保護法対策は法律対策ではなく顧客のためにやることなのだと改めて意識させられました。また実際の事例を交えた話というのは、やはり身近なこととして感じられました。
日常業務の中で、ともすれば忘れがちになるルールの見直しや意識の大切さを再確認し、今後の業務の中で活用していきたいと思います。
因みに当社では個人情報遺漏に対する損害賠償の担保として損害保険に加入し、種々の法人企業との斡旋代行業務の中でテナントより定期的に店内個人情報資料の保管で確認受けておりますので、同程度の規模の斡旋業者より保護システムは整っていると自負しております。
(記 総務課 原田 純子)


